たまちゃんの裏庭道楽

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水耕栽培、果樹栽培、ナチュラルガーデン、DIY

ベランダ水耕栽培⑭ 水耕栽培のメリット・デメリット

 一言で水耕栽培と言っても様々なものがある。ハイドロカルチャーで観葉植物を育てたり、昔からあるようなヒアシンスの球根をグラスで育てるのも水耕栽培と言えるだろう。 

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 その中でも野菜の水耕栽培というと、土がなくても栽培できるという利点から、屋内において、レタスなどの葉物野菜にLEDの光を当てて栽培する植物工場が注目されており、家庭用の水耕栽培キットも様々なものが売られている。

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 しかしLEDの光ぐらいでは、栄養価の少ないレタス程度の野菜しか育てられないし、照明や空調等にかかる費用を考えた場合、レタスを相当高い価格で買ってくれる人がいないと、商売としても成り立たないように思う。

 

  たま吉は水耕栽培の優れた点は、直射日光下でこそ発揮されると考えている。

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↑直射日光下の水耕栽培の様子

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↑知人宅の地植えトマト

 しかし直鎖日光下で育てるなら土で育てる方が一般的なのでわざわざ水耕栽培をする必要が無いように思われるが、、、

 いったいどっちが優れた栽培方法なのだろうか?

 

直射日光下での水耕栽培と土耕栽培の比較

 たま吉はこれまで様々な方法でトマトの家庭菜園をしてきたので、これらの経験に基づき、水耕栽培と、下記の3つの土耕栽培を様々な点から比較してみることにしたよ。

 A 水耕栽培(ベランダ栽培、エアレーション式)

 B 土耕栽培(ベランダ栽培、プランター有機培養土、化成肥料で追肥の場合)

 C 土耕栽培(ベランダ栽培、プランターに無機用土(鹿沼土)、液肥+ケイ酸カルシ                           ウムで栽培する永田農法の場合)

 D 土耕栽培(畑で栽培、有機肥料の場合)

 なお、比較は直射日光下で4本のトマトを栽培した場合について考える。

   

1.初期コストについて

A 水耕栽培(エアレーション式)の場合

 水耕栽培の場合、どうしてもポンプや容器に費用が掛かってしまい、初期コストが大きくなるので、原則として水耕栽培装置は自作するものとする。

 どうしても自作が苦手な人は、水耕栽培キットのようなものを購入するしかないが、直射日光下で行う水耕栽培キットの場合、たま吉が買うとしたら下記のような大型の水循環式のものを買うだろう。 

水耕栽培キット ホームハイポニカ Sarah+ サラプラス グリーン 緑 ハイポニカ肥料 付 【あす楽】

 水循環式水耕栽培は成長が早く、収穫量が多いので元が取れやすい、また小さい容器だと根の成長ですぐ容器が詰まってしまうからだ。

 

 水耕栽培装置を自作する場合でも、なるべくコストを抑えたい。

 最も簡単でそこそこ収穫が期待できるエアレーション式水耕栽培は、コストが低くく、1台のエアーポンプがあれば、配管を分岐するだけでトマト4本ぐらいは栽培できるので、1本当たりの初期コストを抑えられる。

 エアレーション式水耕栽培を、新たに自作したときの初期コストについては、「ベランダ水耕栽培⑫」で試算したところ、トマト4本栽培で、概ね1万7千円ぐらいの費用が掛かる。

 これに「ベランダ水耕栽培⑬」で紹介したミスト自動散水装置の初期費用(概ね1万円)を含めると合計 27000円 になる。

 

B 土耕栽培(プランター)の場合

 ①プランター20リットル 約1500円

 ②培養土20リットル 約1000円

 (①∔②)×4鉢 合計 約10000円

 

C 土耕栽培(プランター永田農法)の場合

 ①鹿沼土20リットル 約500円

 ②プランター20リットル 約1500円

 ③ケイ酸カルシウム2kg 送料込み 約1000円(10年分)

 (①∔②)×4鉢 ∔ ③  合計 約9000円

 

D 土耕栽培(畑)の場合

 土壌改良代(真砂土を畑に適した状態にするために、混ぜ込む資材)

 ①バークたい肥40リットル 約2000円

 

 

2.ランニングコストについて

A 水耕栽培(エアレーション式)の場合

 ①水耕水耕栽培専用肥料 

  トマト4本当たりの液肥消費量 約700㎖/年

   ⇒「ハイポニカ 4000㎖  液肥 A・B液2本組  送料込み」 約6000円

    ⇒ 約1050円/年

 

 ②PHダウン剤

  トマト4本当たりのPHダウン剤消費量 約100㎖/年

      (ただし5月から7月前半の成長期のみに投与。)

   ⇒「エコゲリラ500㎖」 約1400円

    ⇒ 約280円/年

 

 ③電気代 

  エアーポンプ20W、従量電気単価26円/kWh

   、運転時間 15分運転15分停止を交互に24時間

   20(W) × 26/1000(円/Wh)×24(h)×0.5=6.24円

    ⇒ 6.24円/日(20W)⇒ 運転期間214日(4月から11月まで)

    ⇒ 約1500円/年 

    ①∔②∔③ 合計2830円/年

 

B 土耕栽培(プランター有機栽培)の場合

  ①培養土20リットルで約1000円/年

   (連作障害を避けるため、毎年土を買い替え)

  ②追肥に約100円/年

   (①∔②)×4鉢

      合計 約4400円/年

 

C 土耕栽培(プランターで永田農法)の場合

 ①液肥

  「住友液肥 2号 20リットル 送料込み」4290円 

    ⇒ 液肥消費量 約500㎖/年(トマト4本あたり)

    ⇒ 約107円/年

 

 D 土耕栽培(畑)の場合

 ①トマト4本あたりの有機肥料元肥追肥)使用料

      約400円/年

  

3.収穫量について

 それぞれの耕法でトマトを栽培した経験から、収穫量を比較すると。

 水耕栽培の収穫量を「10」とすると、土耕栽培(畑)が「7」、土耕栽培(永田農法)「2」と土耕栽培(プランター)「2」ぐらいの感じだろう。

 土耕栽培(畑)以外は培地の容積が同じと考えて比較しているが、土耕栽培(畑)の場合、根がどこまで広がっているかは不明なので正しい比較にはなってないかもしれない。 

 また土耕栽培(畑)の場合、連作障害の問題があるため、連作の場合は収穫量が「5」ぐらいに下がるだろう。

 

4.栽培の難易度について

(1)水耕栽培の場合

水耕栽培の場合、液肥濃度・水位の管理、水中の異物清掃、水温上昇対策、ポンプ・配管等の点検 等 を毎日行わなければならないので、他の栽培方法と比較すると難易度は「高」といえる。

 特に自作水耕栽培の場合は、試行錯誤が必要だが、逆にその過程が面白かったりするので失敗を恐れず楽しもう。

  

(2)土耕栽培(プランター有機栽培)の場合

 プランター有機栽培の場合、とにかく夏場の蒸れ対策と、水やりの方法に注意しなければならない。難易度は「中」といえる。

 

(3)土耕栽培(永田農法)の場合

  永田農法の場合、蒸れや根腐れは発生しにくいが、土が乾きやすいので夏場は薄い液肥を短い周期で与える必要がある。難易度は「中」といえる。

 

(4)土耕栽培(畑)の場合

 地植えの場合は、時々追肥し、水をやるだけであるから難易度は「低」である。

 

5.まとめ

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  総合的な評価として、土耕栽培(畑)はコストが少なく、収穫も確保できるので1番評価が高いといえる。

 上手に有機肥料で育てた地植えトマトの味は、甘さだけではなく、なんとなく塩味も感じるトマトらしい深い味わいがある。

 しかし毎年同じ場所でトマトを育てることは、連作障害により収穫量が落ちるだろう。

 

 マンションや一戸建て住宅のベランダにおいて、プランターでトマトの土耕栽培を行う場合は、培養土を使うより永田農法で育てたほうが土を再利用できるので、年数を重ねる毎に断然有利になる。収穫量も培養土と同じぐらいだろう。

 永田農法で使用する鹿沼土は、土ではなく軽石の一種なので、通気性が高く夏場の管理が楽だ。また永田農法は土耕栽培となっているが、養液栽培の一種とも考えられるので連作障害はなく、培養土栽培のように毎年古い土を捨てる必要はない。

 

 水耕栽培の場合は、マンションや一戸建て住宅のベランダで、地植え栽培以上の収穫が得られるのが最大の魅力だ。

 初期コストは高いが、長年続ければそのうち費用は回収できるであろう。

 水耕栽培の場合は、容器の大きさと、溶存酸素の供給さえ確保できれば、メロンでもスイカでも栽培できるはずである。また植物が大きく育つため、グリーンの日除けとしても活躍する。

 水耕栽培が軌道に乗るまでは、試行錯誤があると思うが、工夫次第で管理の手間は省くことができる。この作業をデメリットととらえる人は、管理の楽な永田農法をお勧めする。

 またイチゴ栽培のように1年から2年栽培期間が継続する場合は、電気代等のランニングコストが高くなったり、冬場の水の凍結の問題があるので、ご家庭での水耕栽培はお勧めしない。