ベランダ水耕栽培⑫ 水耕栽培装置の初期費用と作り方について
ベランダ水耕栽培と通常の土耕栽培の費用対効果を比較してみたくなったので、水耕栽培の初期費用を求めることにしたよ。
初期費用を求めるには、水耕栽培装置の構成部品の価格を1点々積み上げていく必要があるが、それらの部品の紹介しながら、同時に水耕栽培装置の作り方についても、説明していきたいと思います。
1.初期費用積上げの前提条件
1.1.価格について
たま吉の水耕栽培装置の部品は、たまたま家にあった物や廃材を使用しているので、適正な費用がつかみにくい。
したがって、初期費用の積上げにあたっては、「水耕栽培装置を作るために、部品を全て買い揃えた場合」を想定することにする。
部品の価格については、2020.5月時点での最安値通販価格とし、税込、送料抜きとしている。
1.2.水耕栽培装置について
想定する水耕栽培装置は、家庭のベランダに設置するもので、コンセントはベランダに既に設置されているものを利用するものとする。
水槽は4つで、水の循環方式はエアレーション(エアーリフト)式、栽培する植物はミニトマトとする。
水槽を4つとした理由は、水耕栽培のコストパフォーマンスを高くするためで、エアレーション方式の場合、エアホースを分岐するだけで水槽を増やせるので、水槽が多い程トマト1株当たりの初期費用は低くなるよ。
2. 水耕栽培装置の作り方&初期費用の積上げ
エアレーション式の水耕栽培装置の場合、作り方は超簡単で、下記の物をそろえさえすれば、あとはホースをつないだり、コンセントをつないだりするだけで完成するよ。
2.1.栽培用水槽
(1)水槽の大きさについて
水耕栽培でのミニトマトの成長の勢いはすごいので、水槽の実水量は1株当たり15リットル以上は欲しい。
容量が少ないと、すぐ根がいっぱいになり水が循環しにくくなるので、その場合大きい水槽の方が有利で、最終的にトマトの木も大きくなるよ。
(2)水槽の耐久性について
容器の耐久性はある程度必要で、紫外線や水の重量に耐えうるものを使おう。
たま吉は以前、衣装ケースを使ったことがあったが、1年で紫外線劣化し割れてしまったので、今は薬品用ポリタンクの側面を切り抜いて使用している。
(3)水槽の形状について
水槽の形状は、なるべく平たいものがいい。
水面広さが大きい方が、空気と接する面が大きくなるので、溶存酸素を得やすくなるからだよ。
下記の様な商品(¥2424)は安くても、それなりの強度がありそうだ。
ただし透明容器は、光が透過し水中に藻が発生するので絶対選ばないように。
(4)水槽のフタについて
上記の商品の場合、フタが付いていないので、べニア板等をかぶせるといいだろう。
フタの役割は、藻の発生防止、雨の侵入防止、虫の侵入防止等である。
フタつきボックスを買うなら、「バックルコンテナ BL-22」(1個で¥1280)が安くて強度がありそうなのでお勧めだが、新しいボックスにいきなり穴を開けるのは少々もったいない気がするね。
バックルコンテナ BL-22 ダークグリーン・クリア・エコブラック アイリスオーヤマ【時間指定不可】
(5)水槽中のトマト支えについて
水耕栽培は根が水に漬かっているだけなので、そのままではトマトの木を支えることができない。
トマトの木が小さいうちは、当ブログの「ベランダ水耕栽培②」で書いたように、発泡スチロールに穴を開けて苗を固定して水に浮かべるだけでもよいが、トマトの木が大きくなって実が着いてくると、自立しなくなるので、茎をひもで吊るすなどの対策を考えよう。
なおボックスのフタや、ひも等の雑材については、初期費用に含めていません。
2.2.エアーポンプ
4つの水槽にエアーを送るためにはそれなりの能力のエアポンプが必要だ。
たま吉が次に買うとしたら、 「安永エアーポンプ AP-30P」(¥11,800 4方分岐装置付きの場合)かな。
これぐらいの能力のポンプが欲しい、しかも静音設計。
(速報 2021.4月ついに AP-30Pを購入した。静音を期待していたが、浄化槽用なので思っていたより音が大きい。このままでは閑静な住宅街では使えないので、なんとか防音を試行錯誤中、後日追記します。)
このエアポンプは、たま吉の中古品エアポンプとは違い、エアレーション専用なので、空気量が6倍以上あるよ。
その代わり吐出圧力が、たま吉のポンプの1/6しかないけど、水槽の水位は高々15センチぐらいなので、理論上 1.5[kPa]以上 の圧力があれば空気は送れるので、このポンプの場合、圧力12[kPa]なので、余裕で4槽の水槽にエアレーション(エアーリフト)可能と考えられる。
下表はたま吉のポンプとの比較表だよ。
たま吉のポンプ APN-085VX-1 |
安永エアポンプ AP-30P |
|
---|---|---|
電圧 | 100V | 100V |
電力 | 20W | 22W |
圧力 | 70kPa | 12kPa |
流量 | 4.5 リットル/分 | 30 リットル/分 |
用途 | 医療、ガス分析用(中古) | 浄化槽、養魚関係等 |
↑ たま吉の廃材利用ポンプ
2.3.,ポンプ吐出側の継手と4方分岐装置
次に4つの水槽にエアを送るために、エアーポンプの吐出側に4方分岐装置を取り付ける。
4方向分岐装置にはそれぞれコックが付いていて、各水槽の空気量のバランス調整が簡単にできる。
水槽の空気量のバランスは水位や目詰まり等で崩れやすいので、4方向分岐装置は絶対あったほうがいいよ。
4方向分岐装置はポンプとセットで販売しているショップもあるよ。
ちなみに ポンプと4方分岐装置をつなげるための継手はポンプ付属品だ。
↑ 4方向分岐装置
↑ ポンプ付属品 内径18㎜ゴムホース
2.4.エアホース
各水槽へエアーを送るためのホースは、後日紹介するミスト散水装置の作り方でも使用する下記の様な散水セット(¥1160)に含まれるホースを使用するといいよ。
ベランダなので10mあれば、エアー用とミスト散水用の両方に使えるよ。
(商品説明には、ホース径が記載されてないが、標準サイズ内径4㎜、外径7㎜と思われる。)
2.5.エアーリフトノズル
エアホースの先端をそのまま水槽の底に固定すれば、底から空気の泡が湧き上がり水槽内の養液を循環させるエアレーション式水耕栽培装置は完成する。
たま吉の場合、自称エアリフト方式というやり方をしているので、ホースの先端にさらにエアーリフトノズルを取り付けます。
エアーリフトノズルを作るには、T字型の継手があれば簡単に作れます。
あえてネットで購入するとしたら下記のようなもの(¥299)を購入するといいよ。
ノールマグループホールディングス(ドイツ):T型異型ホース継手 ポリアセタール 型式:TRS-1210
使い方としては、下図を参照。
配管の太さは、太過ぎても細すぎても、吐出の勢いが弱くなる恐れがあるが、最適な太さは、エアーポンプの仕様によっても異なってくると思うので、実験してみないとわからない。
たま吉のエアーリストノズルの口径は吐出・吸い込みが内径8㎜、空気供給側が内径4㎜なので、ほぼ上記と同じ寸法ですが、問題なく噴出してます。
エアーリフトノズルは、トマトが大きくなり、根がいっぱいになってきたときに、水槽の底から表層へ、養液の循環を強制的に行うことができる点で優れているよ。
2.6.タイマー(ポンプを24時間運転する場合は不要)
エアーポンプは24時間動かし続けても問題ないが、たま吉の場合、少し電気代を浮かせるため、ポンプを概ね15分運転、15分停止を繰り返すようにタイマーで制御している。(後日紹介する自動ミスト散水装置もこのタイマーを使って噴霧させている。)
仮に「安永エアーポンプAP-30P」を、24時間運転した場合、電気代は、従量料金単価 26.5円(税込)/kWh として、ポンプが20Wなので、下記の計算となる。
20W × 24時間 × 214(5から11月)日 × 26.5円 ÷ 1000
= 2722円(年間)
タイマーのおすすめは下記の商品一択である。
激安価格で 約¥800 になっているときもあり、オーム電機は昔からあるメーカーで信用できるし、設定方法も超簡単。
時刻表示の外側にある、白と青のカラフル部分に爪が96個付いているので、任意の時間帯の爪を起こすとその時間帯のみ、右横のコンセント差し込み口が通電状態になる仕組みだ。
2.7.電源タップ
ポンプやタイマーは水気厳禁であるため、屋外の防水コンセントを使用する場合は、電源タップ(約¥300)で延長して、タイマーは雨のかからない場所に置くか、箱の中に設置する必要があるよ。
3.初期費用の集計結果
前項で紹介した部品を集計すると、17,680円となった。
(必要最低限の場合、15,684円)
したがってトマト1本※あたりの初期費用は、3900~4400円程度と考えられる。
(※ 1つのエアーポンで4本育てた場合)
ベランダ水耕栽培 に必要な部品 |
数量 | 単価 | 金額 (税込、送料抜き) |
備考 | |
---|---|---|---|---|---|
1
|
水槽 Boxコンテナ |
5
|
¥2,424
|
1個予備 | |
2
|
安永エアーポンプAP-30P |
1
|
¥11,800
|
¥11,800
|
|
3
|
継手、4方分岐装置 |
1
|
上記に含む | ||
4
|
ミストシャワーセット
|
1
|
¥1,160
|
¥1,160
|
※ホースのみ使用 |
5
|
T型異型ホース継手 |
4
|
¥299
|
¥1,196
|
エアリフトしない場合は不要。 |
6
|
オーム電機 24時間タイマースイッチ HS-AT02 04-8049 |
1
|
¥800
|
¥800
|
ただし24時間運転する場合は不要。 |
7
|
電源タップ |
1
|
¥300
|
¥300
|
|
合計 |
¥17,680
|