ベランダ水耕栽培⑤ 維持管理(水補給、液肥、エアーノズル)、台風対策
水の補給について
遅い梅雨のおかげで晴天が続き、トマトもナスビもぐんぐん成長している。
現在では、トマトは1本あたり、毎日2リットルを消費するようになったよ。
ナスビは根の成長が遅く、水がほとんど減らないが、株は確実に大きくなっている。
水をやるときは、なるべく冷たい水を、じょうろで勢いよく補給して、溶存酸素を少しでも上げるようにしているよ。
冷たい水がいい理由は、溶存酸素は水温が低いほど増えやすいからなんだ。
飽和溶存酸素濃度(1気圧のとき)は下記のとおり。
0℃のとき 14.15mg/ℓ
10℃のとき 10.92mg/ℓ
20℃のとき 8.84mg/ℓ
30℃のとき 7.53mg/ℓ
↑2019.6月中旬
液肥の補充タイミング
液肥の補充のタイミングは、トマトの場合、葉先の色が少し薄くなって黄緑色になってきたり、葉がピンと上を向いていたり(朝は概ね上を向いているが)、茎や実が黄色みがかっていると感じたときは、肥料が少なくなっているものと判断し、適宜与えることにしている。
ナスビの場合は、葉色が薄くなって紫色がなくなり黄色みがかってきたかなと感じたときや、花の色が薄いときに、肥料が少なくなっていると判断しているが、いずれも微妙な変化なので、毎日観察してないとわからないかもしれないよ。
ナスビはトマトほど根の成長が早くないし、何故か水があまり減らないが肥料食いなので注意が必要だぞ。 (水が減らない理由は、ミスト散水で葉から水分を吸収しているのかもしれません。)
たま吉の場合、1水槽の実水量15リットルに対して、1回当たりの液肥投入量(原液)をA,B液ともに4㏄(0.004リットル)とした場合、苗が小さいときは2週間から10日に1回程度、成長期には3~4日に1回程度を投入している感じになる。
正確に液肥の濃度を測定するには、電気伝導度を測るECメーターがあると便利そうだけど、いまのところ肥料の過不足は、毎日観察することでなんとなく判断し乗り切っているよ。
今回の水耕栽培を開始した時点からの液肥消費量は、現在、トマト2本ナスビ1本に対しA液B液共に350mLだよ。
液肥を与えるときの注意点としては、A液B液の原液同士を混ぜ合わさないこと、葉にかからないように慎重に補給すること、A液B液を等量で与えることぐらいかな。また肥料の保管は日陰だよ。
エアーノズルの管理
先日、トマトの水を確認すると、水面に油膜のようなものができていた。
この油膜は時々発生する現象で、おそらく微生物によるものと思うけど、何故このトマトだけに発生したのかな?
よく観察すると水面の動きがほとんどなかったので、原因を調べてみると、エアーノズルに根が巻き付いていたんだ。
ノズルはなるべく根が張ってない位置に移動させたよ。
エアーノズルには、エアーの上昇により縦の方向に水流を生じさせて、タンクの底の水を水面まで持ち上げで空気と接触させる役目があるんだけど、エアーの上昇が弱くなると水流も弱くなり、酸素の溶け込み効率が悪化し、溶存酸素が減り、水が腐敗し、根も腐って、取り返しのつかない状況に陥ってしまうので、水耕栽培においては最も重要な管理事項でなんだ。
↑ 光が反射しているところが油膜
この後、再度ノズルを点検したところ、ノズルの中に細かい砂が詰まっていることも判明。
↑ ノズルキャップ詰まりあり
↑ 清掃後
↑ キャップを取り外したノズル(こちら側もいちおう掃除する)
今度はナスビの水質を確認してみたところ、ポリタンクの底に沈殿物があったので、灯油用のポンプで吸い出したよ。
↑ 黒く見えているのが沈殿物
↑ 灯油ポンプ
水槽の中に有機物のカスがあると、微生物が発生しやすくなって、その微生物が酸素を消費したり、油膜を発生させたりするので、水は常に清潔な状態に保つ必要性があるんだ。
水のにおいを嗅いで、少しでもくさいようなら腐敗があるので、そんな時はタンクの水を総入替えした方がいいよ。
原因不明で植物の調子が悪くなったり、液肥の濃度や、水質に不安を持ったときも、一度総入れ替えおすすめするよ。生育を阻害する物質が蓄積することもあるからね。
その際、取り出した養液は肥料成分が入っているので、畑の野菜等に再利用しているよ。
後日気づいたんだけど、何故か底にカスが溜まるのはナスビのタンクだけみたいなんだ。
これは予想だけど、なすびの根は常に新陳代謝しているようで、水面に細かいちぎれた根が漂っている。それらが底に沈んでカスになっているみたいなんだ。トマトの根にはこんな現象は現れないよ。なすびの根っこは繊細なのかな?)
ベランダ水耕栽培の台風対策
過去の苦い経験
ベランダで行う水耕栽培は、気象の影響を受けやすいよ。
昨年は、梅雨時期に2日間にわたる大雨に打たれて、葉が全てダメージを受け、その直後に異常に暑い日が続いたため、環境に適用できず、ほぼ全ての葉が腐ったように枯れてしまったんだ。
とどめに関西に訪れた大きな台風によって、結局トマトは夏を越すことができなかったんだよ。
ナスビもほぼすべての葉がなくなったけど、秋には少し復活し、わずか3個ほど収穫できたかな。
台風対策に養生シートは?
昨年の苦い経験をもとに、今年は雨と風には特に注意を払っている。
先日、終日雨の予報があったので、念のため養生シートを被せてみたよ。
しかし、風が吹いて養生シートがバタつき、枝先が一本折れてしまった。
強い風に対して、養生シートのようなもので囲んでしまうと、まともに風の力を受けてしまうので、養生シートを結びつけている手すり等の強度も心配になってくる。
今後到来する台風に備えて別の対策を考えないと。
↑ 養生シートはいまいち 2019.6月中旬
水耕栽培装置を移動させるもの大変
そうこうしている間に、台風接近の予報があった。
散水ノズルを停止して、風当たりを避けようと、とりあえず木製の台からポリタンクを降ろした時だったんだけど、パッキンと嫌な感覚があり、気づくとなんと大きな枝が1本折れていたんだ。
↑2019.6月下旬
成長過程の新鮮な枝は特に折れやすいよ。
折れた大枝は、未練がましく、挿し木にしてみた。
↑ 折れた枝
↑ 挿し木は永田農法で育ててみる。2019.7月上旬
結局この日は台風は来なかったんだけど、次の日にポリタンクを台に戻すのがまた一苦労で、枝先や花穂は折れるし、熟してない実はパラパラ落ちるし、自らトマトに大ダメージを与えることになってしまったんだ。
防虫ネットバリアー
何かいいアイデアはないかな?
細かい網目状のものであれば、風の勢いを弱らせると共に、大雨の勢いも多少抑えることができるかもしれないな。
さっそく調べてみると、防風ネットという商品が存在しているようだ。
これを買ってもいいのだが、とりあえず今回はたまたま家にあった防虫ネットの端切れで代用してみよう。
↑ コーナンで売ってる防虫ネット
暴風性能はあまりなさそうだけど、メッシュが細かいので、ある程度風を弱めることができるかも。
しかも防虫ネットは価格が安いし、それに色が白く透明感もあり、見栄えは悪くないな。
さてこのネットをどうように設置すればいいかな?
トマト全体を囲むには、やぐらのようなものを組んで張り付けようか?
そうなると結構かさばるよな。
なるべくベランダはすっきりとさせておきたいので、やぐらを組むのはやめて紐を張り巡らせて、そこに防虫ネットを張っていこう。
↑ポリ紐で囲いを作った。2019.6月末
↑ 家の梁にがっしり固定されている洗濯ハンガーに紐をかけた。
↑ 虫よけネットで雨風をしのぐ。
防虫ネットは、鳩目(紐を結びつける穴)がないので、網目に釣り糸を通し、手すり等に結びつけた。
防虫ネットには遮光性はほとんどないので、光合成に問題はないだろう。
また防虫ネットであるからして、キラキラ反射で害虫除け効果もある程度期待できるかな?
しかし虫が来なくなると受粉ができなくなる恐れがあるので、トマトについては花を指先ではじいたりトマトーンを活用し、ナスビについては筆先で人工授粉していこう。
台風対策(防虫ネットバリアー)の続き
防虫ネットをポリ紐で適当に張ったのがまずかった。
予想はしていたが、意外と早くポリ紐が紫外線でぼろぼろになってしまったのだ。
それだけでなく、ポリ紐が細かいチリになってふわふわ飛んでいってしまう。
海洋プラスチック問題もあるというのに、なんということだろう。
↑ ボロボロになったポリ紐 2019.9月初旬
すぐにポリ紐を撤去し、丈夫なポリロープで防虫ネットを本格的に張ることを考えてみた。この際、防虫ネットも買い替えだ。
ロープを張るにはひっかける場所が必要。
まず、ベランダの天井があるところは、木造の梁が通っているので、下の写真の様に、梁にロープを通すための金具を、直接木ネジで取り付けれるので簡単だ。
ただし梁には石膏ボードが張り付けてあるので、4センチぐらいのステンレス木ネジを使用。
問題は、ベランダの天井がない部分に、ロープ用の金具を取り付ける場所がないことだ。
家の壁は、4センチぐらいの軽量気泡コンクリートボードになっており、そんなに強度がないので、金具を取り付けるのは心配だ。
ボードとボードの間の目地のコーキング部分から、柱の位置を狙ってネジをもみ込んで金具をつけることも可能であるが、万が一、雨水が侵入してきた時のことを考えると、これも心配だ。
↑ ロープをひっかける金具をどこに取り付けよう?
このエアコンの冷媒配管の貫通部を利用できないだろうか?
冷媒配管のカバーを外してみると、結構でかい穴があけられている。
↑ 冷媒配管貫通部
穴の中をのぞくと、壁材が見えていたので、この壁材を支えにして金具を取り付けてみようか?
防虫ネットは風を弱めるだけで、風の力で、そんなに強く引っ張られることはない。
また雨水の侵入についても冷媒配管のカバーで防げるし、中に水が入った形跡がないので心配ないだろう。
まず下の寸切りボルトにナットをかけて、これを穴の中に差し込み、壁の裏側に潜り込ませる。
↑ 寸切りボルト
そして、この寸切りボルトにステンレスの針金を下の様に巻き付けて。
↑壁の内側に寸切りボルト
冷媒配管のカバーに小さい穴を2か所開けて、針金を通して、カバーを元のとおりに取り付ける。
後は、ロープを通すための金具を、針金で固定すれば出来上がり。
金具は、昔使っていた吉田カバンについていたもの。
↑ 冷媒配管の貫通部を利用して固定した金具
↑ ポリロープを通して完成 2019.9.2
防虫ネットは、ネットの端をロープを巻きつけて、太い釣り糸で縫うようにして何か所かを留めているよ。
↑ 台風19号にも耐えた水耕栽培 2019.10.14
防虫ネットを使用した感想だけど、大きな雨粒は、防虫ネットで霧雨状になっているし、風に吹かれてもバタバタしないでフワフワする感じ、防虫ネットの中に立っていると、風が弱くなっているのを感じるよ。
幸い、関西には本格的な台風が来てないので、本当の効果は未知だけどね。
追記
風を通さないシートで、絶対真似しないでね。家ごと飛んでいってしまうかもしれませんよ。