永田農法でイチゴ栽培
イチゴの家庭菜園
イチゴの栽培を始めようと最初に買った苗は、トヨノカ1株だけだったけど、1年後、その1株からランナーで5株程に増え、2年後からは10株ぐらいの鉢を毎年育てているよ。
↑ ランナーで株を増やしてるところ
現在では、トヨノカはやめてしまったけど、四季なりイチゴの「ラブチャン」と、「あき姫」の2品種を育てている。
トヨノカは一気に実るが、四季なりイチゴは収穫期が長いので、収穫期には毎日少しづつ収穫でき、家庭菜園で楽しむのには向いていると思う。
かれこれ10年ぐらい栽培を続けているけど、買った苗はこの3株だけなので、イチゴ栽培はとってもお得感があるよね。
↑屋外でも冬の寒さに耐えるイチゴ 2019.4月上旬
↑春になると急に元気になる、 2019.5月中旬
↑2019.5月下旬
永田農法
永田農法を始めたきっかけ
イチゴ栽培2年目までは、赤玉土と腐葉土で育てていたけど、毎年新しい苗に更新する度に、新しい土を購入するのはお金がかかるし、鉢植栽培で有機栽培を行うと夏場に土が蒸れたりして管理が難しかったりしたんだ。
そこで他の方法を探していたところ、永田農法というのがあるのを知り、3年目から永田農法に切り替えたところ、普通に収穫できたのでそれ以降ずっと永田農法でイチゴを育てているよ。
永田農法とは
超簡単に言うと、無機質な土に住友液肥2号とケイ酸カルシウムを与えて育てる半養液栽培。
10年くらい前に流行った農法だが、現在はあまり話題になることがない。
何故かな? ひょっとしたら、お金が掛からなさ過ぎるので、園芸業界が阻止しようとしているのかも。
永田農法で用意するもの
1.鹿沼土
・どこのホームセンターでも売っているやや酸性の無機質な土。
・大、中、小粒があるが、イチゴやイチジクを育てるなら大粒か中粒がお勧めで、小粒は通気性が悪く夏場の成長が悪い気がするよ。また粒径は同じほうが通気性がいいので、中粒と小粒を混ぜたりしないほうがいい。
・お金に余裕がある人は少し高級な硬質鹿沼土の方が粒が割れにくく微塵(みじん)が発生しにくいのでいいかも。
2.住友液肥2号
・大抵のホームセンターで売っている液肥。
・この液肥は、N10-P5-K8 以外の余計な成分が入っていないので安心して使える。
・葉物用は住友液肥1号を使用する。
3.ケイ酸カルシウム
・ホームセンターにはほとんど売ってない。
・水稲の肥料として使われている。
・金属を作るときの鉱さいが原料で、石灰に、ケイ酸、苦土、マンガン、ホウ素、鉄等の微量成分の入ったもの。
永田農法の始め方
土は鹿沼土だけで大丈夫。
鹿沼土は水はけがいいので鉢底石は不要。
鹿沼土を使うときは、ふるいで微塵を取り除くこと。ちょっとしたことだけど、土の通気性への影響が大きいので、これをやるのとやらないのではイチゴの成長の差が大きい。
有機培養土に植えられた苗を買ってきて、定植するときは、まず根から土を落として、水でよく洗い、根の長さが半分ぐらいになるようにばっさりカットする。
カットする理由は、有機培養土で生えていた根は、永田農法で生えてくる白い根とは性質が異なるからだ。
定植は、根を平らに浅く広げるようにして苗を置き、その上から鹿沼土をかぶせて苗を固定する。次に、液肥を規定量加えた水をたっぷりやっておこう。
ケイ酸カルシウムは、鉢の表面にぱらぱら撒いておくだけでいい。
定植直後は日陰で管理し、1週間ぐらいかけて徐々に日に当てていこう。
永田農法の水やりについて
永田農法では、できるだけ水やりを控えて、植物にストレスを与えてから、液肥入りの水を与えることで、甘い果実を作ることを目指しているが、夏場は1日で鉢がカラカラになるので、毎回液肥入りの水をやるのはもったいない。
たま吉の場合は、夏場は水だけを毎日与え、1週間に1回程度、水やりの後に規定量の液肥を加えた水を与えることにしているよ。
液肥は鹿沼土が乾くと結晶状態のまま鹿沼土の表面に残るので、水をかければまた溶け出だして効き目が持続すると考えられるからね。
液肥を与えるときは、葉や茎にかからないようにしよう。
イチゴの場合、冬場は休眠状態になるので、液肥は与えず水だけでいいよ。
永田農法のメリット1
ずばりお金がかからないところだよ。
永田農法で使用する鹿沼土は安いし、何回でも再利用できるのだ。
鹿沼土、特に硬質鹿沼土は硬いので、赤玉土のように粉々になることはないし、根が鹿沼土の粒自体に侵入してくることもない。
また鹿沼土は無機質な土であるため、連作障害もなく、使い終わった鹿沼土から古い根さえ取り除けば、すぐに再利用が可能だ。
↑ 永田農法で収穫を終えたイチゴの根
ケイ酸カルシウムは少量を表面に撒くだけなので、ほぼコストはかからない。
液肥は大量購入(20キロ、4000円ぐらい)すれば、だいぶコストは下げられるし、一生持つかも。
少し余談になるけど、たま吉の家庭菜園の基本的な考え方として、収穫物の価値>栽培コスト の関係が成り立たない場合は、やらないと決めており。
例えば、イチゴ10パック分の収穫できたとしても、培養土と肥料代の費用の方が高い場合は、やる意味はないと考えるようにしてるんだ。
その点、永田農法ほどお金のかからない栽培方法はないと思うよ。
永田農法のメリット2
夏場に強い。
鹿沼土(中粒以上)しか入れていないので、粒と粒の間に空間があり、空気が通りやすいため、夏場に土が蒸れて、植物が枯れたりしない。
永田農法のメリット3
鹿沼土は無機質で、有機肥料を使用しないので、虫がわきにくく、病気にもなりにくい。
地植えの場合、ナメクジや、ダンゴムシがイチゴを食べにくるので、それなりの対策を行わなければならない。
下の写真は適当に植えた地植のイチゴだが、虫に食べられないように、株の後ろに木の棒を立てて、紐でイチゴが地面につかないように吊り上げているところだ。
地植えは大きなイチゴが成るので魅力的ではあるんだけどね。
永田農法のメリット4
これはプチメリットだけど、イチゴに与えた液肥は、鉢底からいくらかは消費されずに流れ出てくる。この流れ出た液肥は、地面に染み込み、その地面に根を張っている他の植物の肥料になる。
庭のブドウが特に肥料をやっていないのによく育つのは、イチゴに与えた液肥のおこぼれによることは明らかだよ、そういう意味ではブドウも永田農法で育てているということになるのかな。
永田農法のデメリット1
特にデメリットはあまりないと思うけど、永田農法に適さない植物もあるようで、たま吉の場合、レモンの鉢植えや、椿の鉢植え等はうまくいかなかったな。
椿に関しては、鹿沼土小粒に腐葉土を混ぜ、住友液肥2号とマグアンプKで、今ではそれなりに育っているよ。
レモンは永田農法が悪かったというより、鉢植えで育てることが難しかっただけかもしれない。
イチゴ以外では、観葉植物や、イチジク、バジル、トウガラシ、モロヘイヤ等は永田農法で問題なく育ったよ。
永田農法のデメリット2
鹿沼土の水はけがよすぎるため、保肥性が少し悪いかな。
そのため市販の栄養満点の高価な培養土で育てる場合と比べたら、少し収穫量は下がるかもしれない。
保肥性を上げるには、保水性を上げればいいのだが、夏場の蒸れの問題と、トレードオフの関係にあるんだ。
過去に、鹿沼土の小粒を使用したり、ミズゴケを入れたり、バーミキュライトを入れたりして保肥性を上げようと試みたけど、根っこが根腐れしてしまうので、結果的に鹿沼土の中玉又は大玉のみの方がイチゴに関しては生育がよかったよ。
夏場にあまりにも早く鹿沼土が乾く場合、燻炭を少し入れたりしているよ。
保肥性を高める方法は、これからの課題だな。