桜の木の端材で鹿肉の薫製に挑戦してみた。
職場の猟友会の方に鹿肉をたくさん頂いたので、普通に焼いて少し食べてみたところ、味は悪くなかったが、臭みが強く、肉から出てくる水分が多いので調理の仕方に工夫が要ると感じた。
そこで今度は薫製に挑戦してみることにしたよ。
燻製にはスモークチップが必要になるが、木工で余った桜の木の切れ端があったので、これを細かくすればスモークチップの代わりになるのではと思ったからだ。
早速ネットで薫製の作り方を調べ、半信半疑でやってみた。
①鹿肉を水洗いし、鹿肉に塩をふる。
鹿に少し血が付着していたので、念のため手袋を着けて水洗いし、水気を拭きとった後、塩を多めにふっておいた。
(※鹿肉にはE型肝炎ウイルスがいるおそれがあるらしいから少し怖い、でも火を通せば大丈夫とのこと)
②ソミュール液を作る
ソミュール液なるものを作る。
材料は、 水300cc 、塩30g、砂糖15g、ニンニク、コショウ(アレンジでローリエも加えた)を鍋に入れて煮立て、冷めたらポリ袋に入れて冷蔵庫でさらに冷やしておく。
③肉をソミュール液に漬け込む
水気をふき取った肉を冷やしたソミュール液に漬けて、少し塩こうじも加えて冷蔵庫で保管しておく。
④桜材からチップを作る
桜の木は、薫製に使うスモークチップとしては一般的らしい。
木工用の木材として桜材は高級木材なので、捨てずにとっておいたのだが、まさか薫製に使うことになるとは予想もしなかったよ。
チップ状にするには、まず桜の角材を薄くスライスすることから始める。
その際、スライスした薄板が割れやすくなるように、桜材の繊維を切る方向つまり横挽きでスライスする。
また、角材を薄くスライスすると、半分ぐらいは粉になってサイクロン掃除機の中に溜まるはずなので、あらかじめサイクロン掃除機の中をきれいに掃除し、紙袋をセットしておいた。
ようやく角材をスライスし終えた。
サイクロン集塵機の中にも粉がたくさん入っている。
ここまで薄くスライスしておけば、あとはパキパキ割るだけで簡単にチップ状になるので、この日はこれで終わりにしておく。
⑤鹿肉の塩抜き
3日程前にソミュール液に漬けておいた肉の塊の内1個を取り出し、水を張ったボールに漬ける。(一度では食べきれないので、残りの肉はソミュール液に漬けたまま冷蔵庫で保管。)
水は何回も入れ替えて、肉を揉んだりしながら、半日かけてしっかり塩抜き。
塩抜きした後は、しっかり水気をふいて冷蔵庫の中で少し乾燥させておく。(ざるに入れて新聞紙をざるの下に敷いておくといいよ。)
⑥燻製の準備
中華鍋にアルミホイルを敷き、スライスした桜材3枚をバキバキとニッパーでカットしチップ状にした。
このくらいの量でいいかな?
サイクロン集塵機で集めた桜材の粉も一握り混ぜて、チップがこぼれないようアルミホイルの周りを折り曲げて土手を作っておいた。
燻製中に、肉から出た汁がチップに落ちないよう、チップの上にのせるフタをアルミホイルで作る。(この時はやらなかったが、3度目につまようじで穴を数か所開けておくと、上手く煙が周ったよ。)
チップの上にフタをかぶせ、その上に焼き網をセットし、塩抜きし乾燥させた肉をのせる。
⑦燻製開始
フライパンに蓋をして、いよいよ薫製開始!
どれだけ煙が出るか予想できなかったので、最初は弱火でビルトインガスコンロであぶり始めたが、煙が出る前にガスコンロの安全装置が作動し火が消えてしまった、
しかたがないので、カセットコンロに切り替えて薫製を再開したところ、ようやくフライパンの中に黄色い煙が立ち込め始めた。
匂いはいい感じ!まさにスモーキーフレーバー
しかし換気扇を「強」にしても、キッチンのいたることろに臭いが付きそうな悪い予感がしてきたので、カセットコンロを庭に持ち出し、カッパを羽織ってやることにした。
(写真ではそれほど煙が出てないので、大丈夫そうに見えるが、薫製の煙はゆげとは違い、ほんの少しの煙でも臭いが様々な物に付着してしまうようだ。
おそらく台所で薫製した場合、換気扇に頑固な臭いがこびりつき後悔するはめになったであろう。)
↑ 風が強かったので囲っている。
(燻製の火加減は、煙が出だしたら少し火を弱めないと、チップが一気に燃え尽きてしまうので目が離せない。 風上で見張っておこう。
またフライパン内の温度が上がりすぎると、肉が縮んで水分が出てきてしまうので注意。)
燻製終了、すごくいい色がついたよ。
燻製の後のチップは炭のようになっている。
これ肥料として使えそうなので取っておくことに。
⑧薫製した肉の表面を炒める
鹿肉は野生動物なので、しっかり火を通す必要がある。
燻製だけでは火を通したことにはならないらしいので、燻製した肉の表面をまず炒めてうまみを閉じ込める。
ニンニクで香りを付けた油で軽く炒めたよ。
それにしても薫製の匂いととニンニクの香りがミックスされるとすごく美味しそうな匂いになるんだな~、期待がふくらむ。
⑨オーブン調理
オーブンプレートにクッキングシートを敷いて、玉ねぎを敷き詰め、その上に表面を炒めた燻製肉をのせ、余熱しておいた220℃のオーブンで、20分以上加熱する。
(肉からうま味のある汁が出てきて、下の玉ねぎに味が染み込むよ。この写真では焦がしニンニクをのっけてしまったが、オーブンの後にトッピングしよう。)
オーブン中は、窓を全開にして換気扇も「強」にしておいたよ。
⑩完成
オーブンすると肉の中の水分がどんどん抜けて、半分ぐらいの大きさになってしまった。
表面が焦げているのは、オーブンレンジの上の段にセットしてしまったせい。
ニンニクはオーブンした後にトッピングしたほうがよかったかな。
⑪味見してみる
見た目が悪いな、しかも硬くなってるし。
あまり期待せずスライスしたものを1枚食べてみる。
なんだこれ、めちゃめちゃ旨い!!!
まるで売ってるやつみたいで、自分で作ったとは思えないぐらい本格的な味と香りがするのだ。
下に敷いていた味付けしていないタマネギにも、肉汁でしっかり味がついている。
初めての挑戦で、これほどのものができるとは思わなかったよ。
燻製ハマりそ~。
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