たまちゃんの裏庭道楽

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水耕栽培、果樹栽培、ナチュラルガーデン、DIY

家庭菜園ブドウ栽培⑧ ブドウ発酵ジュースの作り方

 

自家製ワインについて

 ブドウって不思議な果実で、熟してくると勝手にワインになっていくんだ。

 ブドウは糖度が高いので、ブドウの皮についている天然の酵母菌(微生物)が果汁に含まれる唐分食べて、炭酸ガスとアルコールに分解(発酵)し始めるんだよ。

 たま吉の庭には、ブラックベリーなんかも植えてあるけど、ブドウと味が似ているので、熟々になるまで収穫しないで放って置くと、木に実ったまま勝手にワインみたいな味になっていたりすることがあるよ。

 

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 ↑ ブラックベリー 2019.7中旬

酒税法

 自家製のブドウが食べきれずたくさん余っている。

 ブドウの品種はマスカットベリーAというワイン作りに適しているので、自分でワインでも作ってみようかなって気が湧いてくる。

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 でもね、酒税法ってのがあって、お酒(アルコール度数1%以上)は許可なく作ってはいけないことになっているんだ。

 たとえそれが自分だけが飲むお酒であってもだめ!つまり違法なんです!

 

 ここで、おや?「おじいちゃんが焼酎に梅をつけて梅酒作りしていたけど、これも違法なの?」と疑問に思う人もいるよね。

 少し難しい話になるけど、酒税法では、アルコール分20度以上のもので、かつ酒税が課税済みのお酒に、梅を漬ける場合は、例外的に製造行為にならないので違法じゃないんだ。

 でも梅じゃなくて、ブドウやトウモロコシを焼酎に漬けるのは違法になるらしい、理由は、別のお酒になってしまうから。

  というわけでワインは作れないので、基本ブドウジュースで我慢するしかないんだけど、アルコール分1度未満はお酒の定義から外れるので、この範囲でワイン作りの初期段階だけ楽しんでみよう!

 

発酵ブドウジュースの作り方

①用意するもの

 ・ブドウ(基本洗わない)

 ・砂糖(多糖類以外ならなんでもいい)または蜂蜜

 ・ガラス瓶(作る量の1.5倍ぐらいの容量)

 ・消毒用アルコール(ガラス瓶を熱湯消毒しない場合)

 ・ペーパータオル(コバエ侵入防止)

 ・ブドウをつぶす道具(棒かマッシャー)

 

使用するブドウについて

 ブドウの種類は、よく熟した甘いブドウならどれでもいいと思います。

 そしてブドウは基本洗わない。

 どうしても洗いたいときは、水道水でさっと洗って、なるべく水を切っておくこと。

 水道水に含まれる塩素でブドウの表皮についている天然酵母が死んじゃうからね。

 農家では農薬を散布するけど、ちゃんと袋掛けしているので、買ってきたブドウも洗う必要ないと思うよ。

 たま吉のブドウは家庭菜園なので、当然農薬は使用してないけど、ブドウに虫がついていたり、カビた果粒が紛れたりするので、一粒づつ確認しながら、洗う必要がある粒だけ水洗いしてるよ。

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↑ 今回使用するマスカットベリーA

 

②ガラス瓶を消毒する。

 たま吉の場合は、大きめのガラス瓶を使うので、熱湯消毒じゃなくてエタノールをガラス瓶に少し入れて、フリフリしてからペーパーでふき取っている。

 エタノールは放っておいても勝手に蒸発するけど、すぐに使いたいのでふき取りました。熱湯消毒より早くて簡単だよ。

 熱湯消毒の場合も、よく水をふき取ってね。

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↑ 消毒用アルコール と 2リットルガラス瓶

③ブドウをつぶす

 ブドウの房から果粒をもぎ取って、ガラス瓶に入れ、つぶしていく。

 つぶすときは、ステンレスボールに入れてマッシュポテト用のマッシャーでつぶしてから、瓶に移す方がいいと思うけど、たま吉はめんどくさいし、汁が飛び散るかもしれないので、粒をそのまま瓶に入れて、棒でつぶしていったよ。棒だと粒が逃げるのでやりにくいけどね。

 ハンドミキサーを使うと、皮を細かくつぶすことができるけど、種までつぶしてしまうと、苦みが生じたりして味に影響するのでやめたほうがいいよ。

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↑ ブドウを全部つぶした後。果汁は瓶の半分ぐらいで、1リットルになった。

 この段階で味見してみるとまだ生々しい味。

 こんなジュースなら作らない方がまし、普通に食べた方が美味しいかな。

 

④砂糖を入れる

 目的

 砂糖を入れる目的は、発酵ジュースの場合、腐敗防止と単に甘くするためだ。

 ワイン作りの場合は、アルコール度数を上げるためでもある。

 ちなみに発酵はブドウの糖分だけでも始まるよ。

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↑ 果汁1リットルに対しキビ糖を大さじ3杯いれた。

 ・発酵ジュースを作る場合の砂糖の量

 今回のようにアルコール分1%未満の発酵ジュースを作る場合は、本格的に発酵が進む前、つまり糖分がアルコールに分解され始めるタイミングで飲むことになるので、糖分はほとんど消費されないが、ブドウの甘さだけでは少し物足りない場合は、少し砂糖を入れたらいいと思うよ。

  たま吉の場合はこのときは、果汁約1000gに対し、砂糖(三温糖)を大さじ3杯ぐらい入れたよ。

 砂糖大さじ1杯の重さが 9g なので、27g 入れたことになるね。

 

  ・ワインを作る場合の砂糖の量

 本格的なワイン作りの場合は、酵母菌が活動し続けるかぎり、糖分は全てアルコールに分解されていくので、だんだん甘さがなくなっていくけど、アルコール分が高くなってくると、酵母が活動できなくなるので、この時点で残っている糖分は、ワインの甘さとして残ることになるね。

 

 ワイン作りの場合は、目標とするアルコール度数で、補う砂糖の量が決まってくる。

 下記がその簡易計算式だよ。

 

 【ブドウの糖度÷2】[%] +【 [(砂糖の重さ÷2)/果汁の重さ]×100[%]】 = アルコール度数

 

 例えば下記の場合、アルコール度数は13%になるね。

 ・ブドウの糖度 16

 ・補う砂糖の重さ 100g

 ・ブドウの果汁の重さ 1000g

 【16÷2】[%] + 【[(100÷2)/1000]×100】[%]

   = 8%+5%

    = 13%( アルコール度数)

 

 この計算式をよく見ると、砂糖を加えなくても、発酵が終了した時点で、8%のアルコール度数になることがわかるね。

 

 逆に糖分が少く、最終的にアルコール分が5~6度だと、酢酸菌が働きやすくなり、ワインビネガーになっちゃうらしいよ。

 

④蓋を少し開けたまま、コバエが入らないよう空気を通すものでふさぐ。

 たま吉は、ガラス瓶の金具を挟んで、蓋を半開きにして、ペーパータオルで包み込んで、ゴムで止めておいたよ。

 蓋を完全に閉めない理由は、酵母の増殖過程に酸素が必要なこと、発酵が始まると炭酸ガスが溜まって、今度蓋を開ける時に飛び出る恐れがあるからだよ。

 

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⑤発酵が始まるまで保管、時々かき混ぜ

  日の当たらない、気温18~26度ぐらいのところで、発酵が始まるまで保管する。

 気温は暑すぎても、寒すぎてもだめらしいけど、たま吉の家は、留守中、昼間は30度ぐらいにはなってしまうけど、今のところ発酵には影響ないよ。

 毎日2回程度かき混ぜるか、蓋を閉めてフリフリする。

 

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↑ まる2日目 フリフリした後、少し泡が出てる、発酵の兆し。

 

⑥発酵が始まる(発酵ぶどうジュースの完成)

 3日目、朝出かける前にフリフリするのを忘れていて、夕方に帰って来て確認すると、

 もう発酵が始まっている。

 瓶を持ってみると、発酵で少し熱が発生しているのを感じた。

 発酵が始まると、下の写真のようにブドウの皮が炭酸ガスで押し上げられてくる。

 押し上げられた皮をそのままにしておくと、皮が空気にさらされて、別の菌が活動し始めてしまうので、皮を沈めてやる必要がある。

 とりあえず蓋を閉めてフリフリしてみた。

 

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↑ 気がついたら勝手に発酵していた様子

 

 フリフリすると下の写真のように、炭酸ガスがシュワシュワ出てくる。

 この状態で、もう発酵ジュースとしては完成だよ。 f:id:tamakich-DIY:20191002222257j:plain

 ↑ 攪拌後

 

⑦冷蔵庫に保管

 皮や種は、茶こし等を利用して、絞りながらで取り除く。

 これを冷蔵庫で冷やすと、発酵がほとんど進まなくなるのでアルコール度数もほとんど上がらなくなるが、少しは発酵するので早めに飲み干そう。

 冷蔵庫に保管するとき、少しふたを開けたほうが安全だ。

 (ふたを閉めたまま保管し、冷蔵庫の中で噴射させてしまった経験あり。)

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↑ (参考)茶こしで皮と種を取り除くならこんな感じ

 

⑧発酵ブドウジュースの試飲

 冷えたのを味見してみると、むちゃくちゃ美味い!!

 最初に味見したブドウをつぶしただけの生ジュースの生々しさや、雑味はなくなり、全く別のさわやかな味で飲みやすい、糖分もまだアルコールに分解されていないので、丁度いい甘さ、それに舌の上で生きた酵母が作る炭酸ガスがシュワシュワして、いかにも体によさそう。

 食前酒みたいにして、毎日少し飲むのがいいかも。

 

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(参考) ワイン作りの場合

 ワイン作りの場合は、発酵が始まったらそのまま一次発酵を続けていく。

 皮が浮いてきたら、上から何かで押さえて沈める、をひたすら繰り返す。

 酵母菌が増殖してしまえば、発酵には酸素を要しないので、あまり無駄にフリフリする必要はないが、蓋を閉めて全体的に濡らしてやると、瓶内をアルコールで洗浄する効果はある。

 発酵が始まって5日ぐらいすると、発酵の勢いが弱くなって一次発酵が終了するらしいよ。

 次に皮と種を取り除くために、ガーゼで絞るか、茶こしの上にのせて上から押さえる等を行い、果汁だけ絞り出し、ロートに受けて、口の小さい瓶に満タンに詰める。

 満タンにする理由は、これから二次発酵をさせていく過程で、ワインが酸化しないようにするため少しでも空気を瓶から追い出しておくため。

 また蓋はするけど、完全密閉じゃない状態(発酵栓  エアロック を使うか、サランラップで包む等)にしておく。 

   これを温度19度ぐらいの環境に置き、1か月半ぐらいかけて、マロラクティック発酵(空気中に存在する乳酸菌が、ブドウが本来持つリンゴ酸を、乳酸と二酸化炭素に分解)という二次発酵をさせていく。

 そうすることで、酸味が柔らかくなったり、風味が複雑になってくるようだ。

 二次発酵が終わると、瓶の下にオリが沈殿しているので、上澄みだけを取り出して、樽で1、2年熟成させれば完成。

 気の長い話だね。

 

 最後に、もう一回言っておくよ。

 日本では許可なくワインを作ることは違法になります。